ピーター・バラカンさん
インタビュー
Interview with Peter Barakan
ピーター・バラカンさんは、長きに渡って毎朝トライベッカ・ベーカリーのベーグルを食べていらっしゃるそうです。そんなトライベッカ・ベーカリーのベーグルの長年のファンであるピーター・バラカンさんに、この度インタビューをさせて頂きました。
- バラカンさんと「ベーグル」との出会いは?
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1983年の確か9月だったと思いますけど、初めてNYに行きました。
全部で1週間くらい滞在したんですけど、ある日のお昼に「デリ」に入りました。
NYでのデリっていうのは話には聞いていたんですけど、なかなか賑わっていて面白い体験でしたけど。列に並んでいて、黒板に色々なものが書いてあってね。それを見て「何にしようかなぁ」と考えているうちに自分が列の一番前に来てしまっていて・・・
「何にする?」とちょっと恐そうな感じのお兄ちゃんに聞かれて、
「えー…」と言って迷っていたら「Next…!!」って言われて、列から外されてしまったんです。笑
そんなことがあった時に黒板を見て決めたのがベーグルだったんですよ。ベーグルというものは話には聞いていたんですが、食べたことはなくて。どんなものかなって思って、プレーンのベーグルを食べてみました。
それで、それまで食べたどのパンとも違ったあのモッチリした感じ。
「こりゃ美味いなぁ」と思ったんですよ。で、多分NYにいる間に、さらに1回か2回は食べたと思います。
それで日本に帰ってきて、六本木のテレ朝通りをたまたま歩いていた時に、Fox Bagelsっていうお店を見つけたんですよ。Foxさんっていうアメリカの方が経営していて1店舗だけのお店だったと思うんですけど、「あ、なんだ。東京でもベーグル売ってるところがあるんだ」と思ってね。それで、色々と食べてみたんですけど、その中でも全粒粉のものがとにかく美味しくてね。そうこうしているうちに毎日食べるようになったんですよ。
最初はテレ朝通りに行かなければ買えないものだったけど、しばらくして渋谷西武の地下の食品売り場のところにも出店して、そこで買えるようになったんです。それからもう40年近くになりますけど、基本的に毎朝、ベーグルを食べています。
- トライベッカ・ベーカリーを知ったきっかけは?
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はっきりとは覚えていないんですけど、うちの子供たちが麻布の学校に通っていたんです。それで有栖川公園のすぐ脇にね、ナショナル麻布というスーパーマーケットがあって、そこでよく色んな買い物をその当時からしていたんですね。
で、Foxのベーグルが無くなったあたりで、僕が見つけたか、女房が見つけたか…そこで買ったのが恐らくトライベッカ・ベーグルとの最初の出会いだと思います。
最初は多分ね、どこの会社のものかっていうのを意識していなかったかもしれません。美味しいベーグルがあって、それを食べているっていうそれくらいの認識だったかもしれませんね。
- トライベッカ・ベーカリーのベーグルを毎朝食べているのですか?
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ほぼ毎日食べています。田舎でカフェをやっている友達がいて、その人は自分でパンを焼くんです。その人が時たま焼きたてのパンを送ってくれた時は、さすがにそれを食べます。笑
そういうことも若干、あるんですけど、それ以外は毎朝食べていますね。
必ずそこそこの量を買ってきて冷凍して、毎晩、翌朝に食べるベーグルだけを解凍する、そんな生活です。
- ベーグルはどんな食べ方をされているのですか?
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ごくごく簡単です。まず横に半分に切ります。それでトースターで3分くらい焼いて、バターを少し塗ります。
それで半分に切ったものを更にね、半分に切るんですよ。
そうやって4つに切ったベーグルに、4種類ものを塗って食べています。
ー 1個のベーグルで色んな味が楽しめますね
まあ、できるだけ、1つのものだけ塗るんじゃなくて。
例えば、クラシックなベーグルの食べ方といえばクリームチーズにスモークサーモンとかね、そういうものがありますよね。
でも、僕は色んなものが食べてみたいから4つに切って、4種類の色んな味で食べる、と。
- 以前、ご自身のラジオ番組内でもベーグルを紹介してくださったと聞きましたが?
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ああ、あったと思います。
ー 紹介しようと思った理由は?
や、「美味しいものを人に知らせたい」と思っただけですよ。
- トライベッカ・ベーカリー代表の石河さんとはどんなお付き合いをされていますか?
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時たま会って話をしたり、一緒に食事をしたり、そういう付き合いです。
ー どんな話をされるのですか?
大抵、ベーグルの話が中心ですね。あるいは、石河さんは経営者として凄くね、面白い。
独特の哲学も持っているし、日本全国周って色んな面白い人とつながっているからね。話はいつも面白いですよ。
- 最後に、トライベッカ・ベーカリーのベーグルをまだ食べたことがない人へ何かメッセージがあれば
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ベーグルというものは、けっこう色々な所、駅の校内とかでもね、売られていることがあります。
でも、本当のベーグルというものは、元々はNYあたりの文化だと思うんですけど、焼く前にまずね、茹でるんですよね。
それで、独特のあのモッチリした感じが出るものですけど、日本でベーグルという名前で売られているものは、どちらかというと、ベーグルの形をしたパン、というものが多いんです。
あのモチモチ感は全然なくて、物足りない。
本物を食べたことがある人間としては。
で、トライベッカのベーグルはね、やっぱりちゃんとした本格的なベーグルです。でも、その中でも、全粒粉はピカイチです。
あの、他の種類のものはね、全粒粉ばっかり食べてると軽い。
で、その軽さはね、日本の普通の消費者は好きだと思うんですよ。
でも、全粒粉ばかり食べている僕としてはね、やっぱり全粒粉にこだわっちゃう。
全粒粉はベーグルの王様だと思っています。
プロフィール
1951年ロンドン生まれ。
ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。
現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(東京FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。
著書に『ピーター・バラカン式英語発音ルール』(駒草出版)、『Taking Stock どうしても手放せない21世紀の愛聴盤』(駒草出版)、『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ラジオのこちら側』(岩波新書、電子書籍だけ)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+α文庫、、電子書籍だけ)などがある。
2014年から小規模の都市型音楽フェスティヴァルLive Magic(https://www.livemagic.jp/ )、そして2021年からPeter Barakan’s Music Film Festival (https://pbmff.jp/) のキュレイターを務める。
ウェブサイトは https://peterbarakan.net/